ラブマ出中島健人担になった

 

 

小学生、あるいは中学生くらいのころにジャニーズにハマった人間のいくらかはそのままジャニーズと付き合うようになる。自担と呼んでいた人は適度な距離になり、あのころの熱とは違うまま、でも新しい人に出会うこともなく…そんな日々を過ごしていた。

ただある日、目が合ってしまうことがある。


冒頭のとおり、私はポエマーです。感情的になるとすぐポエムを読むので仲のいい友人は表情から察知して「またポエム?」と言われるほど秒でポエムを読みます。なので、もし時が来たらポエムで埋めた担降りブログを書こうと決めていた。
2017年12月。私は担降りすることとなった。これはすべてタイミングとしか言えない。ただポエムで埋められるようなものではなかった。
なぜならこれは性欲だからだ。私は自分の性欲に従い、担降りをしたのだ。


担当という言葉を自分で言うのに苦手意識があった。これは若手俳優についても同じだ。「自分の特別」を決める行為は昔から苦手だった。特別なら特別なことをしなければいけないのではないかという強迫観念からか。特別がいるのにほかの好きを言う罪悪感からか。特別がひとつだけという不安からか。

いや、違う。特別がとびきりさみしいかったからだ。

今までジャニーズで唯一自担と呼べる二宮和也に出会ったとき、私はまだ10歳の少女だった。今でもはっきり覚えている。お盆に親戚で毎年宴会を行うのだが、名前も知らない、歳は近いが遠い親戚がリビングでざわざわしていた。「始まるよ!」
知らない人ばかりの話で退屈していた私はブルーシートの上でビールで乾杯する人間をすり抜け、テレビの前に座った。『Stand Up!!』というドラマが始まった。インプットが苦手な少女だった私はこのドラマの内容がひとつも分からなかった。話数は中途半端だし、内容もばっちり下ネタ。なのに掴まれた。理由はいまだに分からない。でもあれは確かに私が初めて目撃した『青春』だった。

家に帰ってからも毎週見た。夜9時に就寝させられていた私にとって金曜の夜の10時は特別で、夜更かしできる日だった。内容はちんぷんかんぷんのままだった。でも毎週見た。ただ偶然、母が松潤が好きだったため、『Dの嵐』を録画して見せてもらった。二宮和也くんはこのときには私にとって特別な人になった。ジャニーズ。嵐。少女は様々なはじめましてと出会った。

それがガチ恋だと気づいたのは確か『ONE』のコンサートだ。母がチケットを取ってくれた。ませていたので、へえ、あるなら行くけど、なんて顔をしていた。中華街で肉まんを食べて、コンサートってどういうものなんだろう。とにかく会えることが嬉しかったことは記憶しているけど内容はさっぱり覚えていない。インプットが苦手な少女はそのときひとつの感情に埋め尽くされていた。
「こんなにも彼を好きな人がいるの?」気分は涼宮ハルヒがドームで野球観戦したときのそれと同じである。私の、私だけの特別だった彼は、みんなの特別だった。少女は何も知らない蛙だったので愚かにもそんなことに泣いた。好きなのに絶対に届かないじゃないか。こんなにも好きなのに? ガチ恋、なんて言葉も知らない少女はわんわん泣いた。好きが辛い感情も初めて知った。

これが叶わない恋であるなら、と今度は避けることに一生懸命になった。見ない知らない好きじゃない。半年ほど離れている間に嵐はアジアツアーが決定し、初の東京ドームでのコンサートも決まったのに、母に行かないと伝えた。届かないなら見なくていい。知りたくない。
戻ってきた正確な理由を正直覚えていないのだが、ひとつに「腐女子」という単語を知ったことがあると思う。かなりグレー(むしろ黒)な話だが、腐女子というアイデンティティを得た私はあっさりジャニーズに舞い戻った。少女は「恋」以外でどんな感情で彼らを応援すればいいのか本気で分からなかったのだが、腐女子という外野になることで居場所を得たのだ。それくらいに幼かった。
インプットが苦手な少女はやっとそのときいろんな言葉を覚えた。物語が読めるようになった。感情が増えていった。こんなにも熱中する娘に母はたいそう驚いた。よくヲタクは「〇〇を好きになる前、どうやって生きてたか覚えてない!」と言うが、私はまさにそうだ。あの日まで確かに生まれてなかった。人間のふりをしているだけだった。
人間になれたのはニノがいたからだといまだに思う。ジャニーズが好きな友人が出来て毎週自転車を走らせて録画した番組を見せあったり、絵を友人と交換したり、覚えたてのインターネットで動画やファンサイトを見たり。あの青春は確かにニノがいなかったらなかったものだ。

ただ高校生になったころには部活で忙しかったこと、どんどんと増えてゆくレギュラー番組と当たらないコンサートからついに嵐から離れていった。大学生になったころ別のジャンルにハマった。同時に何を見ても嵐を好きとは言えない、不思議な時期もあった。恋愛なら倦怠期なのだろうか。何を見ても違う!そんな怒りを感じてしまう。ただそれは数年したらあっさり落ち着いた。何にあんなに怒っていたのだろう? こんなに面白い番組なのに…と自分自身びっくりしたが、今思えば、嵐を生かしきれていなかった構成・その状況でうまく回せてなかった嵐・伸び伸びと自由に笑ってほしいというわがままな欲が全てチグハグだったのだろう。

定期的にジャニ会と称し、DVDやバラエティを見る回を友人と開催している。それぞれ別グループが好きで、私が見せるDVDの担当は嵐とNEWSだった。
NEWSの構成力はすごく好みだ。かなり語弊のある言い方だがハマるならNEWSだと思っていた。彼らはみんなインプットもアウトプットも好きで、その構成力は毎回驚かされるし、歌もいい。あと顔がめちゃくちゃかっこいいし仲も良くて可愛くて…今書いててもこんなにすらすら出るんだなってびっくりする。NEWSめちゃくちゃ好きだな、私。でも「自担」はいない。ガチ恋レベルで落ちた私は自担という言葉の響きはある意味恐怖だった。フワフワしているくらいがちょうどいい。安心して好きでいられるグループ。ジャニーズと私はつかず離れずの関係を保っていた。

2017年の主なジャンルはテニミュとして生きていた。すごく楽しかったけど、熱に浮かされるみたいな状況からはしばらく距離があった。好きだと思った俳優も人気作品にばんばん出て、挙句私の地雷作品にもあっさり出演が決まった。友人に本気で心配されたが、まあ分かってたことだしなあと流した。なんだか空洞になっていく自分がいた。「そういう時期」としか表せない。タイミング。何をしても何を見てもなんだかちょっと冷めてる。この状況はすべて「失恋したから」で友人には通していたけど、本当のところは私も分からなかった。「そういう時期」はやっかいで、空洞の自分を埋めようと趣味以外にも躍起になっていた。鉢の花を購入したり(枯らせた)占いバイトに応募したり(落ちた)スナックでバイトしたり(辞めた)ひたすらお酒を飲んだり、あとほかにも、いろいろやっていたと思う。でも何も面白いことが起こらないのが「そういう時期」だ。

 

 

そんな私は秋の終わり、うっかり、あっさり、初対面の相手とワンナイトをしてしまった。酔っていたのもあるが、男女が通常どういう流れでセックスに至るかすっかり忘れていたので、これは本当にうっかりだったがもともと貞操観念がガタガタな私はあっさりしてしまった。

正直に言うとめちゃくちゃに動揺した。
そして動揺以上に、性欲が爆発した。人としばらく触れていなかったため、何もかも久しぶりすぎて、空洞だった私はまったく頭の処理が追いつかなかった。

そんなとき放送されたのがベストヒットアーティストだ。大型の音楽番組はTLを追いながらリアルタイムで見るのがなんとなく習慣になっていた。
それで、モー娘×セクゾ『LOVEマシーン』の何が特別だったのか?と問われたら困る。本当になんだったんだろう。ただつんく♂の書いた歌詞が、このメロディーが、空洞だった心を外側からガシャンと、生命力に似た力強い何かでその殻を壊したのだ。
ケンティーが綺麗なターンを決めてカメラ目線になったとき、目が合った。いつもなら「ああ、かっこいいな~」くらいでいつも終わるのに、ひとしきりキャーキャー叫び、異常な興奮に襲われた。素肌につけたネクタイも良かったのだろう。私はいわゆる貶し愛に近いなにかを持っている。それ自体は普段隠していて、自分自身も忘れることがある。あのネクタイは私の加虐心に火をつけた。これは劣情だ。めちゃくちゃにしてしまいたい。爆発した性欲は行き先は、何故かLOVEマシーンだったのだ。

恋愛っていつ火がつくのかDYNAMITE
恋はDYNAMITE

その勢いのまま、STAGEコンサート*1のDVDを注文した。普段こんな勢いでお金を使うことがないのだが、この「購入する」のボタンは最高に気持ちよかった。何かを手に入れるという欲をこんなに簡単にかなえられるなんて。

 

恋をしようじゃないか! (Wow x4)

さあ、この『LOVEマシーン』は驚くことに遅効性だった。たまに見返して、ケンティーの動画を漁ってかっこいいなあなんて思って、いつも通りの生活に戻る…その間隔は徐々に狭くなっていった。どうしようもなくなって、「LOVEマシーン中島健人で性欲が爆発した」みたいなはてな匿名ダイアリー書いてやろうと思ったけど普通に文章が面白くなくて却下した。ポエマーにはあまり下ネタが向いてなかったらしい。週末には中島健人と性欲について考えたら知恵熱が出ていた。何をしているんだ…?
届いたSTAGEをひと通りあらためて見たが、『Miss Mysterious*2』のいやらしさったらなかった。中島健人が、彼自身が"Miss Mysterious"になるのだ。届きそうで、届かない、心は見せてくれないのに魅せられる。俺から目を離さないで。誰も見つめていない虚ろな瞳。宙を舞う星屑。はだけた肩で妖艶に誘う姿。限界まで興奮した私はこの映像を爆笑しながら見た。許してほしい。

もう止められないのさ すべて暴かせて

Oh ミス・ミステリアス 惑わせる


ただ自分自身が熱しやすく冷めやすい体質であることを自覚していたのでしばらく自分の感情を様子見することにした。しかし「そういう時期」はもう終わっていたのだ。
先述したワンナイト男とちょこちょこ会っていた。notワンナイト 半セフレである。まさか自分がセフレがいる人生を経験すると思わなかったので、都合のいい女でいることも楽しんでいた。それは彼も感じたのだろう。金をせびられたのである。その手口はお見事であったが、まったく貢ぎ体質でなかったので丁重に断った。彼はたまにこうやって女から金をもらっているらしい。マジでそんな男存在するんだ!?生まれて初めて男娼を見た感動はあったが、ああ、やっぱり要らないなあと。なんだか納得するような気持ちが胸の奥からひっそり湧いて、それきり会うことは辞めた。めちゃくちゃにウケたしこのクズがやばい2017ノミネートした。

一通りウケたあと、セックスするためだけに会ってる男に払う金1円もないな、とあらためて思った。なら頭から爪の先までアイドルでいてくれる人を見ているほうがずっとずっと幸せでいられる…と気付けば、もうドミノ倒しだった。ケンティーをただ見ているだけなのに、ドキドキして、好きという感情がいっぱいにあふれる。
様子見なんてものはやめてしまおうと。だってもう落ちてる。認めないほうがどうにかなりそうだ。
スタートは確かに持て余した性欲をぶつけるような行為だった。ただ性欲は生命力ととても似ていて、空洞だった私を生きる力であっという間に埋め尽くした。だってずっとずっとさみしかった。

 

 もう出会えないと思っていた、自担というサムワンは中島健人だった。認めた瞬間、世界はくるりと回った。
ラブホリを見ても、握手会の神対応を見ても、わー、すごい!くらいにしか思っていなかったのが本当に嘘みたいだ。彼が笑いかける女の子はいつも姿が見えなかった。屈んで顔を見るときも、優しく繋ぐ手も、たくさん紡がれる愛の言葉も、その先にあるのは不思議な透明だった。その不思議な透明は私で、みんなだ。そんなふうに簡単に自惚れさせてしまう魔法を持った男の子だった。

 

そしてまさかこのタイミングで春コンサートが発表されるとは思わず、幸せで幸せでたまらない。まだ見ていない映像作品もDVDも、知らない曲も、知らない彼らが、たくさん世界にあふれてて、夢中になれる幸せ。そんな私が今、一番怖いものはふまけんです。あと聡マリしてるときのマリウス。