あなたが月と両想いでも 〜アイドル短歌 連歌編〜

 

綴さん(来世はペンギンになりたい)とアイドルをテーマに連歌という雅なお遊びをしました〜!!!超楽しかったのでブログにまとめます♡ 綴さんが上の句・私が下の句まとめ画像は下に載っています。

 

上の句:風林 下の句:綴さん

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いつか君は君でなくなり知らぬ顔 そしたら次はどう出逢おうか

綴さん)きっといつかアイドルはアイドルではなくなってしまう。今までそこにいたアイドルとさよならをするわけだから、それって私はめちゃくちゃ悲しいし寂しいんだけど、そしたら新しくまた出逢えばいいだけのことなのかなぁと考えたりもする今日この頃。

 上の句は「アイドルでなくなったら」「好きだと思っていた長所が変化したら」というイメージで読んだのでそのままの解釈で返って来てくれて嬉しい!「また出逢えばいい」というのにグッとくる。私にとってもすごく悲しいので、こんなふうにポジティブな歌になっていて視界が開けるようだった。

 


あの昼に月が出たから仕方ない 恋に落ちたと認めなくては

綴さん)なんの脈拍もないようで自分の中ではとても論理的に繋がっている、そういうマジックな瞬間があると思ってる。昼の月を見ていたら「恋に落ちたのだ」と認めざるをえなくなるような、そういうマジック。本当はマジックなんかじゃなくてただ認めてもいいと思えるきっかけがほしいだけなのかもしれないけど、それでも誰かとか何かのせいにしたくなることはある。

 自分が上の句詠んだこと忘れるくらい1首のバランスいいな…羨ましい…
上の句はあまり深いイメージを持たず昼の月をどう解釈するだろうと思っていたから、この歌を読んだときすごくドキドキした。誰かや何かのせいにしたい運命というのはこの世にあると思うけど、それをこんなに鮮やかに詠めるなんて…やっぱり羨ましい…

 


ひとりでは渡れぬ鳥だ 海の上 水面に映る影はともだち

綴さん)アイドルは(というか人間は)とても孤独なものだと思っていて、もしかしたら渡り鳥なのにみな一羽で海の上を飛ばなければならないのかもしれない。そしたらきっと自分の影を友達にして飛ぶんだろうな。自分と仲良く。

 「海の上」からの水面・影・ともだちが仄かに暗くていい。上の句はかなりポジティブに「ひとりじゃない」「グループ」をイメージして読んだのでこれは真逆に返ってきて驚いた。孤独を「影はともだち」と表現するところが大好き。

 

 

好き嫌い好き嫌い好き嫌いすき 花がないので占えません

綴さん)静かに物騒。これしかない下の句を思いつけて満足。花がないからあなたが私のこと好きなのか嫌いなのか、私があなたのこと好きなのか嫌いなのか、わかりません。

 読んだとき、えへへ♡綴さんの短歌だ♡って真っ先にデレてしまった。「綴さんが詠まない歌」という考えで送った上の句だったんだけど、見事に物にしている上にすぐ思い浮かんだとのことだったので笑ってしまった。この歌を読んだあと「私だったら花があっても占いません的な内容を詠むな」と思ったけど「花がない」ということ自体が切ない比喩になっていて良い。

 


黄金の麦畑で見る君は僕の宗教の神と似ている

綴さん)EPCOTIA ENCOREのペンライト、黄金の麦畑だったなと思い出しながら。NEWSは神様じゃないけど、NEWSが体現するものは私の宗教の神様と似ている気がした。

 ペンライトの光景をイメージした上の句だったので、こちらもそのままの解釈で返ってきて気持ちよかった。
似ているなんだよなあ。その人自身じゃないんだよなあ。でも似ているんだなあと噛み締めてる。すとんと入ってしまって逆にコメントできない…君は神様ではないけど似てて困る………

 


不器用でいいよ私がそのかわり守ってあげる離れないでね

綴さん)アイドルのこと愛しいとか守りたいとか思う気持ちって健全なように見えて不健全だよな~という気持ちの表れ。

 ストレートな短歌でドキッとした。出来上がったものを見ると引っかかりなく読めてしまうけど「不器用」だから「守る」のいいなあ。不器用なままでいてほしいもんなとこのコメントを読むまで思っていたがコメントを読んだら綴さんだった。「不健全」。ちなみに上の句は綴さんの好きな「シャララタンバリン」をイメージしていました。本人に伝えたらダメージ受けていたので、良かったです。

 

 

言語化ができないものに埋もれてる いずれ窒息するも本望

綴さん)物騒。最近はあまり加藤さんのこと言葉にできなくなってしまって、でもなにも言えないんじゃなく私の中にはたくさんあるんですよ言葉以前のものが。そういうものに埋もれて呼吸を奪われるのもまたいいんじゃないかと思いました。

 言語化したくてもがいてるつもりで詠んだ上の句だったので真逆になって気持ちよかった。いや窒息したくないんだけど。そういうふうに埋もれられるほどのものを受け取っている状態はある幸せなのかもしれない。窒息はしたくない。

 

 

真実はいつも私が決めること 選んで取って加工するもの

綴さん)なにが本当か嘘かなんてわかんないしそれは私が決めることなので責任を持ちたい。私が選んだものがあるということは私が選ばなかったものがあること、私が選んだものも私が食べやすいように加工されているということ、それらを忘れずにいたい。

 こんなに私の思想と綴さんの思想が一致してていいのか?ってくらいイメージしていたものどおりのものが返ってきて爽快。
コメントの「選ばなかったものがあること」もすごく好き。私も忘れずに生きていこう。

 


許すとか許さないとかそんな位置 手振れ補正でちゃんと見えます

綴さん)自担に対する複雑な気持ちも防振だったらちゃんと見えますかね。双眼鏡使ったことないけど。

 「そんな位置要らないよね」というイメージで詠んで投げたので、また違った形になっていて面白かった。短歌も解説も綴さんらしい(本人の言葉を借りれば)物騒さがあっていい。コメントも好きです。

 

 

あやとりのように変わる道にいて結び目の如く変わらぬあなた

綴さん)あやとりの糸はかたちを変えるけど、結び目は変わらずそこにある。私の中で加藤さんとか小山さんとかってそういう人たちだな~という気持ちを込めました。

 運命の糸や見えない紐のイメージだったからこそ下の句で視点が変わっていて良い。「あやとり」→「結び目」が鮮やか。結び目という目印があるっていうことに刺さってしまった。誰にも詠めないのに伝わる表現が好きです。

 

 

 

綴さん:上の句 風林:下の句

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連歌の誘いを受けたとき、本当に本当にいいんすか?!とめちゃくちゃに思った。私自身、短歌はずっと好きなんだけどアイドル短歌をやり始めたのは3月くらいだし、31音に落とし込むことにいつもいつも苦労していたからこんなことになると思っていなかったのでとても嬉しかった。あと純粋に綴さんのファンだったので緊張したよね。

 

綴さんの短歌は盾を持たないで真っ直ぐな剣だけを思ってると本人に伝えたけど、もうひとつ、音があるとも思っている。最初に浮かんだ表現は「ぴしゃり」だったんだけど、それでは断絶に聞こえるなと思って暫く悩んだ。もっと近い表現で言うなら、神聖な鈴の音だ。私には見えない線引きを持っており、下手に近づこうものなら遠ざかる。「こうだ」と思っていたら幻だった。そんな夢から覚める瞬間の音が鈴だ。狐に包まれると言うのだろうか、ハッとする視点を落としてくれる。下記の短歌もそうで、綴さんは夢からずっと覚めたまま別の視点の福音をくれる。

守るためではなく破るためでなく「する」ためだけに約束はある

アイドル短歌まとめ5 - 来世はペンギンになりたい  より

前者の「真っ直ぐな剣」についても似たようなことで、その剣は戦うためでなく威嚇だ。だって盾を持っていないから。盾を持つ選択肢はあるけど、それを選ばすに戦わずに真っ直ぐ立っている。綴さんの歌の鋭さは傷つけるための存在ではく、守ってくれるものなのだと思う。

 

 

短歌を詠むときはだいたい上から順に31音を作って、そこから表現を変えてみたり、変えた表現から連想で別の短歌が出来上がったりするタイプなので、この「上の句は変えられない」という縛りが本当に面白かった(同時に物凄く試行錯誤した)。絶対に面白いの作れないよ~泣!っていう上の句からいいものが出来上がったり、これでいいかな?と思ってとりあえず出した短歌が少したって見てみると「いやめちゃくちゃにいいじゃん…私天才だな…」ともなったりして、本当に楽しかった。正直悩ましすぎて五年以上ぶりに短歌のハウツー本を読んだりもした。

例えば綴さん上の句「現代の科学じゃ説明しきれない」は途中まで「電波を受信 愛で解読」という下の句だった。自分の中であまりいい短歌と思えなかったので綴さんに送る直前に「ものであってね 追う恋が好き」と変えました。同じ上の句でも全く違う。楽しい。今までは途中でうまい表現を思いつけなかった短歌は最後まで作ることを諦めてしまいがちだったので、いいなと思った表現はその場で作れなくても寝かせてみたりするのもありなんだなと思えました。
私は飽き性なので、アイドル短歌についてもすぐやめてしまうだろうなと思っていたけど本当に楽しかったから短歌はゆったり続けていきたいし、また連歌もやりたい。

 

 私が書いた下の句についてはこちらのブログをどうぞ♡

 

penguinkawaii.hatenablog.com