STORY still continues

 

リアルタイムで応援している自担グループからメンバーが抜けるという経験は初めてだったけど、ふわっとシミュレーションをすることはあった。ていうか年齢が35歳前後ともなれば、グループから一人くらいは抜けたいと思う人間が出てくるのは自然なことだと思う。ジャニーズしか知らない人間が、ジャニーズ以外の場所に憧れを抱いたり、あるいはジャニーズでいつづけることへの不安というのは、想像に容易い。別に「ジャニーズ」じゃなくても適用できる。今までとは違う場所、違う会社、違う相手…なんでも。

実際、ここ数年はジャニーズ事務所をやめた人は多かった。「ここ数年多かった」というか、そういう年齢にみんななっていたんだなと思う。それが自分の好きなグループにだけは起こらないなんて楽観はできなかった。他のグループで、そういったことが起こったとき一番最初に思うことは「良かった」だった。ああ、良かった。私の好きなグループではなかった。良かった、「こっちはまだ大丈夫だ」…最悪だな。それくらい、遠いことではなかった。

それで、シミュレーションは何度もするんだけど、グループから誰かが抜ける可能性は考えられても、「その後」を想像することはできなかった。そのときどういう気持ちになるかも分からなかった。

 

6/19は有休をとっていた。NEWSのライブ配信を見たあとは情緒が乱れそうだったし、どうせならたんまり残っている有休を消化しようと。いつも何故か受信するのが遅いメールアプリが、そのときばかりはしっかり鳴った。いつもならこまめにメールをチェックしないのにその日はなんとなく目に入って、「メンバーより、NEWSファンクラブ会員の皆さまに大切なお知らせがございます。」と見えて、ああ、と思った。
冒頭の小山さんの言葉が、すごくゆっくり聞こえて、そのまま文字に起こされて、絶対その先は「手越祐也が」に続いているとしか思えないのに、聞くまで信じられなかった。

手越くんが事務所を退所することを聞いて、あーーーーこんな感じか、が最初に思ったことだった。メンバーが抜けるって、そのことに対する喪失感って、こんな感じなんだな。STORYと、その先もやる予定だったコンサートに手越祐也という人間はいなくて、今まで何ものにも代えがたかった「四人」の生の歌声は聴けなくなって、私が想像する未来にいてくれた人がいなくなるんだな。疑うことができなかった未来というものが、ぱっと霧に変わって残り香だけがするみたいな感覚を私は抱いた。

 


これはその瞬間の話だけど、前後にもっといろんなことがあったし、何かが起こるたびに違う感情や考えが出てきて一貫しなかった。今もまとまってない。数日経って、「でもSTORYはやってほしかった」という言葉はたくさん見たし、私も感情のほとんどがそれを占めていた。このタイミングで、STORYをやることなく、でもアルバムは出てて、ゲネプロ(本番と同じ形式でやるリハーサル)までやって、あとは本番をやるだけ、ってところで、このプロジェクトに欠かせない重要なひとりが抜けるって、夢を打ち砕くのに十分すぎる。STORYに、四部作に、時間と想いと愛が乗っかっていたのは間違いない。望んだ形で開演されることがないのは、本当に虚しい。

 

 


手越くんはその後、会見をした。報道と相違がある部分についての報告をかねてとのことだったけどあまり大きな相違があるとは思えなかった。それでも彼が言った小山慶一郎が、加藤シゲアキが、増田貴久が長い時間を共にした戦友であること、NEWSに、ジャニーズ事務所に感謝しているという話は聞けて良かったと思う。疑ったことなんかなかったけど、あらためて言われてほっとしてしまった。
手越くんが、本当はSTORYを終えてから退所しようと思ってたこと。その準備のために外出したということ。聞けば聞くほど新型コロナウイルスに対する考えの甘さが露呈した。結果、事務所にあらためて退所の話をするころには「弁護士を立ててほしい」と言われ、そこからはメンバーと連絡を取ることを禁止されたらしい。そして、今回の円満退所に至った―――その間が不明すぎるが、弁護士が入ったことにより、この部分は話せないことらしいということも分かった。


話せないこと、知ることが出来ないこと、疑問が返ってこない「アイドルとファン」という関係性ゆえ、私たちはいつだって自分で真実を持たなければいけないと思っている。だから今回の件について、私は私の目で見える範囲で持てた「真実」は「これは円満退所ではなかったのだろう」ということだ。もちろん、その内側で何が行われていたかは分からない。

同時に、手越くんがSTORYをやりたいという気持ちが本物だったということも私の中で事実だ。それが履行されない退所を円満と呼ぶことはできなかった。その気持ちが本物であると思えば思うほど、四人でやるSTORYが見たかった。
四部作、NEVERLAND・EPCOTIA・WORLDISTAのラスト作品。STORYのグッズで一番気にいってるのはバッグだった。過去三作のバッグと同じ布地とデザインを繋ぎ合わせている。あの三作を積み重ねて、今があるということ。それくらい大切で、重ねてきた時間の証。それを思うこと…つまり今回の件を悔しがることは許されたい。

 


手越くんがいなくなったという事実を受け入れることはできれど、それによってなくなった未来をまだしばらく…もしかしたらずっと…思うことになると思う。私がそういう人間だということをよく知っている。

NEWSのことが好きだと言うとき、冠に「手越くんのいる」という言葉を付けたことがあった。それだけ手越くんの知名度を信頼していた。手越くんが持ってきてくれたサッカー曲は重ねる毎に好きになっていった。最新作「SUPERSTAR」が抱く切なさと寂しさ、それでも進む強さが愛おしかった。あの歌声が好きだった。NEWSの幹とも思う歌の力強さ、努力に裏付けられた信頼が確かにあった。MCでとても大きい声で笑ってくれたこと。流行に疎すぎてみんなで驚いて、笑ったこと、どんな無茶ぶりにもオチをつけて応える頼もしさがあったこと。
前衛に居続けてくれる人だと思ったこと。
その分、傷つきやすい部分は一番内側に隠してしまう人のように思えたから、傷つけられて平気な人なんていないから、せめてファンがいる場所が一番優しい場所でありたかった。いや、この感情は後付けかなあ。都合が良すぎるかな。

 

 

手越祐也は、2020年6月19日をもって、NEWSを脱退した。
NEWSは3人でやっていくことになった。
"NEWS are made of four people"という文字を何度も見た身としては信じられない。それだけ(四人の)NEWSが何度も4を強調していた。前述したとおりいつか誰かが抜けたいと思うのはある意味自然だと思っていた私にとっては、少し怖いものにも聞こえた。どうしてそんな怖い言葉を繰り返すのだろうか。もしかしたら、これ以上誰かが辞めるのであれば、もうなくなってしまうグループなんじゃないか? そんなふうに思っていた。

それでも今終わるのは違うだろうと誰もが…少なくとも3人が思ってくれたから、NEWSは続く………これもしょせん私が勝手に持っている「事実」なんだけれども。

 

 

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手越くんが活動自粛になってから退所までの期間にファン発信の企画が立ち上がって幾つかに参加した。そのうちのひとつに「NEWSに今、伝えたいことは?」という問いがあった。あのとき書いた「伝えたいこと」は、NEWSが3人になった今も変わらない。
未来がどうなるのかは、全然想像もつかない。それでも未来がいいものだというのは信じるに足ると思う。そう思う勇気はね、すでにNEWSからもらっているんだよ。

 

NEWSへ

「ここからいったい、どうやって頑張ればいいんだ」
そんなときにNEWSのライブに初めて行きました。
最後に歌った『U R not alone』で”一切引かないし一切負けない”と誓うしかなかったこと。
人生は頑張り続けるしかないんだということ。
転んだって立ち上がれるということ。

NEWSが教えてくれました。ありがとう。大好きです。

 

 

 

 

 

 

 

 


追伸、これからも良き旅でありますように。

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