LET'S GO ハッピーエンド ☆ レッドブルつばさ単独ライブ『一生LOVE宣言』感想

芸人にハマっている同居人に誘われ、友人含め女4人でレッドブルつばさ単独ライブ『一生LOVE宣言』に行ってきました。※ネタバレあり感想です

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note.com

 

まえがき

レッドブルつばささんの前情報はほとんどなかった。

同居人が、レッドブルつばささんは自分の考えを「内臓」と呼んでるので風林は合いそう、と言っていた。私は自分の思考を「はらわた」と呼んでいる。脳みそと呼ぶ人もいるけど、「脳みそを見せる」だと自分の意識がない状態…受動的行為に見える。でも「はらわた」はまだ自分の意識を残すことができる。見せたいと思って見せるんだと、だから私は自分の腹を切るんだと友人に言ったらまあまあ引かれた。こんな能動的に勇気を持ってやっているのに不服だ。

閑話休題
個人で自分だけの言語を持っている人はそもそも「言葉」に一家言持ってないとやらないだろうから、そういうタイプなのかな?とうっすら思った。今も人となりを知っているわけじゃないから、うっすらである。

 

念のため、ライブ日前日に、一応何か知っておいたほうがいい情報ある?と聞いたらnote(エッセイ)を勧めてもらった。

美容院と「まとも」|レッドブルつばさ|note

芸人オタクの芸人が死ぬルート|レッドブルつばさ|note

 

腐女子彼女』がもう懐かしくてしぬ。お前の黒歴史は私の黒歴史なんだよ、急に刺すな…
芸人オタクが芸人になった話は「救いたいな…」「救えないな…」「救わなくていいな…」と思った。正直、あと5000字書いてもらいたい、もっと詳しく知りたいと思ったけどその欲はライブ後消えた。

 

 

 

本編/【さいごの出待ち】

後述します。

 

【社内恋愛】

「かっわいいよぉなあ~」のキモつかみから、ちょっとずつちょっとずつ情報が小出しされて、口説いてた女が部下と来週結婚することを知る。しかもほかの社員は知っている。。。最悪だけどちょっと可哀そうで笑える。社長の息子という属性を彼はうまく扱えず、可哀そう…可愛いな………

これはエッセイも秀逸。ちなみにライブ前は特に買う予定なかったので持ち合わせがなく、その場で友人に借り、現ナマ握りしめて列に並びました。

 

【環境】

自分にバチンとハマったのはこのコントから。
最高の環境に身を置いてしまったため、怖くなり距離を置こうとする高校一年生男子、客観視ができすぎている。よく「過ぎ去ってからあのときの楽しさに気づく」と大人は言うが、使われすぎている表現のせいで渦中の本人も気づいている。その状況を打破してくれるのはやっぱりギャルなんだよ!!!!!!!!!!別に作中で女子たちがギャルという描写はないけど、絶対りなはギャルだろ…ギャルであってくれ…「え?これからずっと楽しいよ!」「ウチらずっと一緒じゃん!」ってギャルりな言ってくれ…それで大学は別々になって、ちょいちょい集まってたけど就活期くらいになんとなく疎遠になってくれ。「だから言ったじゃん」って泣いてくれ。

「ずっと」って、「ずっとって思った一瞬」だから「ずっと」はシュレーディンガーの猫と同じです。だから「ずっと」って言うことに私はひどく肯定的だ。契約じゃなくて約束なんだから。

楽しすぎてキレる人間が好きだから見ててずっと楽しかったし、笑ったし、うれしかった。

 

【剣道の大会】

女4人でライブを見た後居酒屋へ入り、感想を好き好きに話したが、これは意外と意見が分かれて面白かった。

「とにかくキショい」とキモさ以外の感情を失った私、「こいつが逮捕されないのはおかしい、日本はロリコンに食いつぶされるんだと思った…」と将来を憂う友人、「気持ちはわかる、ハロヲタはだいたいあんな感じ」と語るハロヲタ女。

ちなみに「あの管理人もなんなんだ」には「本業剣道オタク・副業ロリコン」と友人が言い放って爆笑した。三十歳フリーター男は本業がロリコンらしい。

剣道の技は分からねえのになんで2年前のインスタのストーリーズは覚えてるんだよ、ていうか「ちゃっちゃっちゃ!」って動きまで分かるなら技覚えられるだろ解像度は普通に高いじゃないか、竹刀を「竹の棒」と呼ぶのがなんらかのメタファーっぽくてキモい、性癖を求めて突進している。やばすぎて途中何度か目をかっぴらいた。
めちゃくちゃキモイが、こいつは純粋に性癖を全うしているだけなのだ。その姿は別に他ジャンルのオタクとなんら変わらない…というか、延長線上にいると思う。でもキモイもんはキモイんだよな。

エッセイに『「キモイな~」と笑い飛ばしてくれればいい』と書いてあったので今安心して連呼している。ツッコミでこんだけの分量書けるんだから面白かったです。きめえ~~~!!!!!

 

【迷い猫】

すっきりしたショートショートだけどすごく面白かった。ディティールがすごくいい。エロ垢を2016年から使用しているところもポイント高い。エロ垢だけど迷い猫がどうなったか…とスクロールする。エロと切り離せない何かが出てくるんだなと身構えていたらすぐ見つかった猫の画像が出てきて爆笑した。

本公演は基本どのネタも、後日譚的なセリフが暗転中に挟まれる。アカウント名「ami_ero1230」について「ami_eroはもういたんだね」はそうなんだけど、「1、2、3もいたんだね、1230はいなかったんだね…」と言っていて、え!?誕生日じゃないの!?と思って笑った。レッドブルつばささんなら誕生日って分かってそうだけど、わざとなの? 気になる。

 

【タイミング】

ド直球「ヲタク」ネタ。プロポーズと推しコンビのM-1落ちの悲報でバランスが取れなくなっているヲタク。

「なんでどっちも好きじゃ駄目なの?」
「私を幸せにしてくれるものは多いほうがいいでしょ!」は良すぎて拍手したかもしれん。

暗転中、後日譚として「ワイルドカードおめでとうございます」と彼女が芸人に(出待ちかなにか?で)伝える。その裏にプロポーズや彼氏の努力と悲しみがあることを芸人はきっと知らない…それが珍妙で面白く、ちょっと切なくて良かった。
ヲタクがヲタクすぎるから別れる、みたいなことがこの世にままある中で、こういうネタがフィクションであろうと存在していることは嬉しい。

 

【元芸人】

友人と「うちらで先輩をハッピーエンドにさせる二次創作をするしかない」と話した。軽くリレー小説になりかけたくらい、感情も持っていかれたネタだ。

女4人の居酒屋感想会話
「あの先輩がハッピーになれるBLはうちらで書かなきゃいけない」
「また始まったよ、創作癖が…」
「すぐ本を出そうとするから…」
「夏コミで出そう…」「出そう!」
「何冊売れるんだよ」
「(うちらいるから)4冊は売れるよ♪」
「家でやれ」

※二次創作の話です)先輩は会社を辞めるか?には辞めないが3票で、私だけ「辞める」だった。「病んで会社を辞める。適当に流したTVから元相方が出てる番組が流れる」って言ったら一番ひどいのはおまえだ!と言われた。ハッピーエンドの布石だから許されたい。

「会社での面白いって元気だから」「上司が笑うとその場がウケたってことになる」ってセリフは秀逸。何を求められているかって悲しい話がコメディになるからすごい。会社で求められていることをやる先輩の言う「君の上位互換が俺だ。もしくは下位互換だ。上か下かは、何を大切にするかで決まる」は今回の公演で一番好きなセリフだ。対であり、どちらもどちらかになれない。

常々、「面白いこと」と「感想を書けること」は単純に比例してないなと思っている。このコントは上手く感想を書けないけど面白かった。二次創作なら書けるのにね…

 

【活動家】

感想を言う女たち「あれは野ざらしの化け物」「真の悪だよ」「悪意がない悪が一番の悪」「社会の脅威」
女子剣道オタク三十歳フリーター男と同じくらい流ちょうにけなす言葉が出てきた。それだけサーチ力あるならパパ活くらいヒットするだろう、分からないふりをするんじゃないぞ!と心の中で胸倉をつかんだ。

友人「(パパ活を)親孝行と言った時点で勝敗が決まってた」

ちなみにもともとゲラの友人が、途中笑いすぎて声を押し殺していたらしい。暗転中の後日譚辛ダブチは友人たちが笑いすぎたせいで長くしてくれてる?と思うほど壊れそうに笑っていた。

 

【どっち!?】

だいたいどのネタも「これどこにたどり着くんだ…?」が多いんだけど、その極みだった。人間が一人で過ごす時間の演技は演劇でも大好きで、デリヘル呼んだあとの一人時間も同じ楽しさがある。
どかどかと登場人物が増えて、どこに着地するか分からなかったので「俺が全部終わらせる」で大喜びした。お前しかいない、終わらせてくれ~!!!!!!!
これこそ「後で考えたら青春だったな」になりそう。ショートムービー取れちゃう。
エロが50%にシュレーディンガーの猫やることないからこの状況作り出せたのすごすぎ。

 

【さいごの出待ち】と【一生LOVE宣言】

ここからは自分の話多め。
私はジャニーズファン歴が長かったり、人生の中で何かにハマることが多々あった。そうするとファン哲学はいよいよ凝り固まってくるし、自分のためにしかならない信条も増える。

「一生好き」は自分は使わないしよく分からない。「明日のこともよく分からない」という思考が強すぎて、一生好きって感情が芽生えてこない。「今この瞬間すごく好きだと思った」が一番正確で、それを伝えるために言葉を選ぶことはあっても5年後、10年後、自分や相手がどんな人間であるかも分からなくて確信を得られない。だから根本的によく分からない。
なのに、私が考え抜いて、一番正確だと思った表現に「一生好き」は簡単に負ける。正確な表現なんて自分の感情に誠実なだけで、言葉が伝えることで意味を成すのなら「一生好き」のほうがよっぽど良いものらしい。
だから言っちゃえばいいんだよ。嘘が悪者なら私はもう何もしゃべらないぞ!!!!
みんな今しか生きられないくせに過去や未来なんて人間が定義したものに縛られやがって…物語の見過ぎだぞ…

 

また、迷いがあるオタクから「一生好き」類いの言葉を呪いなのではないかという話もよく出る。
うるせ~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!である。
もし自分の好きな演者が好きっていう人がいるから辞められないと言うのであれば、じゃあ好きってもっと言ってやるからな!と思ってしまうので、結構考え方の違いを感じる。辞めたって辞めなくったって私が今この時間(アイドルや任意の演者の名前)が好きでいるのは事実だからな!信じなくてもいいから一回頷け!
相手が望むことなんか親しい間柄ですら分からないのに演者とファンが分かりあうなんか無理で、そのくせ妙に分かってしまうときがあって、でも信じるに足れず正解が分からない。だったら(相手が嫌がることはしないという前提のもと)言いたいことを言えばいいのに。
呪いだろうが、解く力は自分も相手も持っているような気がしている。というのが私の凝り固まったファン哲学だ。

ミュージシャンが死後、自分の出棺出待ちしているファンを見る姿はハッピーエンドBLすぎて笑った。コミュニケーションのもと、あるいは偶然や相性のもと、どんなめちゃくちゃでもハッピーエンドで、最高だった。

 


あとがき

見る前、エッセイをあと5000字読みたいと思ったけど、ライブ後その欲が消えたのは、ネタがその部分を担っていたからだ。(この話はサビなので何度目かの話だけど)私は短歌が好きで、枡野浩一著『かんたん短歌の作り方』をバイブルとしている。本作の中で「それは本当に短歌で表現すべきなのか?」と漫画家が詠んだ短歌にコメントをしていた。ブログなのか、手紙なのか、絵か写真か、短歌か。この世にごまんとある表現の中でどれを選ぶのが一番良いのか。レッドブルつばささんで言えばそれがネタなんだろうなという感想を抱いた。

 

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ブログ内で「女4人」と称した友人たちは数年前からたびたび集まってはいろんな遊びをしている。闇鍋、キャンプ、ゲーム、ディズニー、塩会、ピクニックなど、思いついたものはすべてやっている。全員オタクと呼んで差し支えない程度に何かにハマっているので、ハマっているものをプレゼンする会もたまにある。今回はそれが芸人にハマった同居人だった。

ただ我々は本当に何をしゃべったかよく忘れる。闇鍋のときなんか4杯食べたのにほぼ全員が鍋の中身を忘れ、スマホを見返したら鍋に大根を突き刺すというパンチの効いた写真が出てきたこともあった。4人中4人が写真を見るまで忘れていた。

なので定期的に「写真や動画を撮ろう」と言っていたことと、同居人が「みんなの感想をまた聞き返したい…!」ということで飲み会を録音した。

せっかくだからその会話を元に感想動画作ったので載せます。(字幕はあきらめた)