NEWS四部作短歌連作4tours ~STORY編~

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NEVERLAND:鷹野しずかさん (@sz_uta)
EPCOTIA:綴さん (@penguincawaii)
WORLDISTA:志佳子さん (@yaki29utaaa)
STORY:風林

 

 鷹野さんのお誘いで企画「NEWS四部作短歌連作4tours」のSTORY担当として参加させていただきました…素敵な企画に誘っていただき本当に嬉しい…
 このブログでは自作短歌のメイキングを。
 ちなみにコンサート以外に特に縛りはなく、4人それぞれがそれぞれのコンサートを思い出せるような短歌をテーマにして詠みました。

 

 

STORY

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「作風的に私はSTORYじゃね? 直近のコンサートだから熱量も高いし詠みやすそうじゃない?」と思い(もちろん他との兼ね合いもありましたが)STORY担当になりました。作風と熱量はそうなんだけど、詠みやすさは無かった!笑

 STORYって、人生ってそれでも続いていく物語だね、だから大丈夫、進んでいこう…という概念であり、分かりやすいアイテムがあるわけじゃないので象徴となるワードで迷いやすかった。ただ、そのぶんNEWSがいつも歌ってくれることを詠めばいいという安心感はありました。

 いろいろ悩み、STORY発売当初よりもアルバムを聞き込みSTORYのレポを読み返した。STORYも最高のアルバムです。

 

誰しもが無謀と呼んだ崖で見た夢のゆくさき2020

 合計4首ということもあり、起承転結の「起」を何にするか考え、STORYコンサートのOP、絵本のような映像のプロローグ部分「誰しもが無謀だと言った」の場面を引用しました(※円盤発売前のため文言は曖昧ですが)。あのシーンで毎回泣くから。無謀と言われても諦めなかったNEWSくん…好きだ………
 STORYコンサートを行ったのは2021でしたが、タイトルを「2020」にしたNEWSがとても好きなので、2020というワードはどこかで使いたかった。
 誰しもが無謀と呼んだ崖からようやく2020年へたどり着く。あの日見た、誓った、想像した夢。「夢のゆく果て」等の候補もあったけど、これは果てではない、つまり終わりではないなという気持ちを込め「ゆくさき」を採用しました。

 

旅人が伸ばすてのひら「何度でも歩き出せるよ」にぎりかえした

 最初に完成しました。「何度でも」の短歌です。特定のアルバム曲の短歌は入れようと予め決めており、手癖で「何度でも歩き出せるよ 旅人が伸ばす掌握り返した」を詠んでしまい、もうこれしかないじゃん…となった。「何度でも」が好きすぎる。(転=3首目で「エス」を詠むのもありだと思ってたけどエス短歌詠む自信もないままこの短歌が先に爆誕してしまった)
 伸ばすてのひらを握り返す…というのは私のアイドルに対する心象風景です。個人的すぎるかなと思いつつ、いつか詠むか今詠むかの話だったのでそのままGOしました。
 その後、漢字をひらき、語順を旅人と自分が言葉を通して繋がってゆくようにして整えました。「何度でも歩き出せるよ」は旅人が言うようにも自分が言うようにも解読できる(あるいは旅人=自分自身でも良い)。どちらにしても「にぎりかえした」ので気持ちは同じです。

 

交差する揺らせる光る鳴らす熱届いて聞いてこのサイレンス

 動詞が多すぎてうるせえ~~~!!!とは思う笑 でもラストがサイレンスなのでこの形に…かなり悩みました。
 コンサートSTORYで切り取りたい瞬間はどこだろう?と考えたとき、「俺たちの名前は?せーの!」のあとに起こるあの無音だと思った。可能であればコロナ禍のコンサートであることも含みたいと元々思ってたので、真っ先に「サイレンス」というワードを採用。
 揺らせる→心臓や身体、光る→ペンライト、鳴らす→拍手、熱→そのまま。発句はなかなか決まらず、一瞬「会う」をイメージできるワードを探したのですが、今回は配信だけの方もいるだろうと思い、広義な言葉として「交差する」にしました。

 

~ここからは余談・推敲編~
 「サイレンス」は最初発句でした。

・サイレンス叩くてのひらペンライト揺れる心臓届いてyell
 →てのひらが2首目と被る、直接的すぎるか?

・サイレンスひかる揺らせる鳴らす熱 迷わず届け希望とyell
・サイレンス揺らせるひかり鳴らす熱 一直線に届けよyell
 →希望yellにかけてるけどサイレンスが弱くなっていないか?

・yell鳴る揺らせる光る迷わずに走って届けこのサイレンス
 →いちばん伝えたいことを結句に持ってくという技をやるも、もうぐちゃぐちゃ

・交差する揺らせる光る鳴らす熱届いて聞いてこのサイレンス
 →希望yellの要素を消し、ここで完成形に。

 

 

人生は果たして続く物語 夢抱きしめる君に幸あれ!

 ラストも最後まで悩んだ。この形になりましたが、私なりの「NEW STORY」短歌です。
 やはりラストは「NEW STORY」であってほしい。そのまま歌詞を引用するのではなく、私の言葉で詠むとどうなるんだろうと「NEW STORY」を聞きまくりました。加藤さんのライナーノーツを読み、これは「自分(きみ)の物語」で、NEWSが私たちに向けた曲なんだな…とあらためて嬉しい気持ちを抱きつつ、言葉と概念をこねこねしました。
 「人生は果たして続く物語」が先に出来上がり、じゃあこの短歌をどう落としていくか。
 人生が続くこととNEWSが続くことってまったく別なんですよね(ここが今回の激ムズポイントだった)。仮にNEWSが終わっても各々の人生は結局続いてく。それでもNEWSという夢を抱きしめてくれる君がどうか幸せでありますように…というNEWS宛の短歌であり、NEWSがいつも私たちにくれる勇気の短歌。もちろん君=ファンでも良い。
 「抱く」でも「抱える」でもなく、「抱きしめる」なのは、そこに叶わなかった夢もこれからの夢も両方あるだろうな~という言葉選びです。
 手前みそですが四部作ラストの結句に「希望~Yell~」を持ってこれたことにとても満足。ちなみに「!」は提出直前に付け加えました。叫びたくて。


 お誘いいただいた鷹野さんにデザインしていただき、こうしてひとつの素敵な作品になれたことに興奮しています…
 作風的にこの人には〇〇コンサート担当してほしいな…と内心思ってたのが(偶然)全員そのままやれたのも個人的にテンション上がりました。
 また、4首並べたときそれぞれが影響しあってて面白い。例えば綴さん(EPCOTIA)と私(STORY)の短歌では1首目に西暦が登場し(四部作表題曲「EPCOTIA」「STORY」それぞれに西暦が出てきているという理由もあるけど)偶然の対比となっています。
 ほかにも鷹野さん(NEVERLAND)の「目蓋に焼き付けて」と志佳子さん(WORLDISTA)の「まなうらにいる」も偶然の一致であり、「パレード」と「声の残像」と表現しているところもそれぞれの色がよく出ている。「手」に関して言えば3首も別コンサートで登場していて、それぞれ取り扱いが微妙に違う…並べたからこそ現れた面白さがある!楽しい!

 どの担当を見ても、それぞれに思い出せる風景があり、アイドル短歌の面白さにまた深く触れることができたような感覚がありました。コラボや連作は楽しい。

 

ただもっと上手くなれるよう日々精進していこうと思った…もっと面白い短歌、詠んでいくぞ…!